指名買いをしていただける会社に
私たちは卸売業です。同じお菓子を他社や小売店でも扱っていれば、お客様にとっては何の変りもないただのお菓子です。なぜ青木光悦堂で買ってくださるのか、常に自問してみてください。ヒントは、お役に立ちたいという心あるサービスをする事にあると思います。心あるサービス、つまり真心から感動が生まれ「青木光悦堂で買う」と指名していただける会社になるのではないでしょうか。
ライバルは携帯電話
お菓子のライバルと言えば携帯電話だと思います。特に携帯電話のゲームです。永く、お菓子は家庭の中心でした。家族を結ぶ絆としても一役かっていました。お菓子を囲んで誰かと話しをしながら楽しむのは醍醐味の一つだと思います。反面、極端な言い方をすれば携帯ゲームは目の前にいる人との会話を閉ざすものです。それが良いとか悪いとか審判するつもりはありません。ただ、私たちの扱う商品が、家族円満のきっかけであって欲しいと願うだけです。その場で一緒に口に入れたお菓子が美味しいとか、分けたお菓子の量が多いとか少ないとか、幸せを一緒に感じて分け合う光景に役立てたら、それも喜び創造を果たしているといえるのではないでしょうか。そんな家庭の一端に寄り添えたら、それこそが私たちにとっての仕事の喜びです。
「自分の人生の脚本を書いていいんだよ」
誰かのせいにしているうちは、いつまでも自分の人生のシナリオは描けない。あなたに関わったあらゆる人たちのおかげで今がある。いつまでも他人のせいにしていては、あなたの人生は歩けない。あなたにしかできない役割がある。
お一人さま一度きりの人生。だから、自分の人生を生きよう。自分らしく生きよう。自分の花を咲かせよう。
本物を売る ②
当社は人間性を成長させ、誠実に喜びを創造する事が命題です。本物を売るとは、人間性を売る、誠意を買っていただくという事ではないでしょうか。人間性を高めれば、同時に人生が豊かになってみんなの幸せにつながります。人間性を高めるというのは能力ではなく、姿勢なのではないかと思います。お客様に真剣に向き合う姿勢、朝礼で志を唱和する姿勢が人間性を成長させてくれます。
「人のお世話にならぬよう 人のお世話をするよう」
三代目がよく言っていた言葉です。一生懸命やっても上手くいかない時がある。暴れたくなる衝動にかられたり、酒に逃げたくなる時もある。でも心のベースにこんな誠実さを置いておけば、大切な事はいつか伝わると信じたい。
向かう方向が違っている時は叱ります
従業員さんが失敗したからといって怒りません。できなかった事が一個でもできるように努力してくれたらいい。仕事の上手下手とか早い遅いとかは本気でやっていれば何とかなります。だけど、向かう方向が違っているときは叱ります。
日々のあいさつの意味、掃除の意味をきちんととらえていて欲しい。ただの作業にしないで欲しいと思います。
一生懸命にがんばった結果、うまくいかなかった時はご苦労さまと言ってあげたい。
採算意識は全員でもつ
毎月の全社会議で計数を共有しています。パートさんにも2ヶ月に一回、朝礼で計数を公表しています。採算意識は全員が持っていて欲しいと思います。新しいモノを購入する時は尋ねます。それはあなたが「欲しい」ものなのか、会社に「必要」なものなのか。当社はダース買いを禁止しています。理由は物品の仕様は突然変わって、買いためた古い在庫がゴミになってしまう事があるからです。1万円以上の経費は社長決済が必要なのもこのためです。毎日の仕事で、配送ミスや不手際で再送を要する時があります。たった1,000円かもしれません。でもその1,000円をリカバリーするために、どのくらいの売り上げが必要になるのかを考えてほしいです。たった1件の再送料で、一生懸命に働いた誰かの一時間分の時給がムダに消えるのです。
「家庭軸が大切」
家庭や大切な人に不調があって仕事に集中できるか?お子さんがいる従業員さんは子どもの用事で休む。与えられた仕事は終えないと、お客様を待たせることになる。でもそんな時、従業員さん同志で「自分たちもそんな時期があった。順番順番。」と気持ちよく休ませてあげる声が聞こえる。休んだ側も出勤したら、お礼と一緒に子どもの様子を伝える。青木光悦堂の「お互いさま」という風土で、協力して子を育て、大切な家族の健康を守りたい。
正しい事を言っているけど、そこに愛はあるのか
仕事を語るとき、家庭を語るとき、正論を愛と履き違えてしまう時があります。正しい事を伝えようと夢中になって、愛を忘れてしまうのです。例えば身体にハンディキャップを持って産まれてきた方がいるとします。正義だけで語れば「どうして人と同じ事ができないのか」「生きている意味はなんなのか」冷酷な言葉が出てきます。反面、愛をもって見てみれば、そこに居てくれるだけで価値がある事に気づきます。職場で人を指導して育てる時もそうです。愛があれば人を責めたりしないはずです。仕事そのものを正すのが指導育成です。青木光悦堂は仕事を通して一緒に成長してゆく会社です。愛に欠けて成長する事にどれほどの価値があるでしょうか。100点満点は難しい事ですが、愛のウエイトを増やしていきたいものです。
「今できることをしよう」
当社の歴史に、会社をたたむかどうかのピンチが2度ある。一度目は大戦中や終戦後の砂糖不足。二度目は、長く債務超過が続いた時。何年も赤字が続いて事業を止めるかどうかまで考えた。しかし、本当に倒産する時というのは、コロナ禍のような時に自滅するように訪れるのだろう。自宅待機を余儀なくされたゴールデンウイーク。明けて集まった時、「家でなにしてた?」と問うと「じっとしていました」と応える。まずい。売上は低迷が予想される。今、廃業すればみんなの退職金をいくらか支払える。本気でそう思った瞬間です。ゴールデンウィーク明けに、どうするかみんなで考えた朝礼を忘れません。紡がれた歴史と、確固たる理念をよすがとして再スタートした朝だったと思います。「自発的に考えて行動し喜びを創造しよう」これがあれば必ず乗り越えられる。
少しずつステップアップ
成長は少しずつでいい。ただし、着実に。昨年よりも今年が少しでもできるようになっているか。それを実感してほしい。
解雇はしない
これまでに解雇はしたことはありません。ただ、関係が悪くなって辞めてしまった事はあります。ウソをつきとおそうとしたため追い詰めてしまいました。ウソを積み重ねてお客様からの信頼を失い、同僚の努力をムダにして看過する事ができなくなっていましたが、最後までウソを認めませんでした。後で聞けば、家族との関係が悪くなっていたとの事でした。自暴自棄になっていたのかもしれません。
教訓は二つ。家族は大切という事、会社も一つの家族であるという事。
ピンチはがむしゃら
当社の明治25年からの歴史があると、ピンチを何度も乗り越えているはずです。戦争、災害、不況そして菓子業界への逆風。その記録が残念ながらあまり残っていません。3代目社長に聴いた事があります。「ピンチの時はどうやって乗り越えた?」その回答もあいまいでした。「どうしたんかな。(会社を守るため)金を稼ぐ事だけ考えたかな。覚えている事は、ただ、がむしゃらにはやったな。」ピンチをピンチとして対峙せずに、ただがむしゃらに乗り越える。そんな強さが当社に根付いていれば、いつかまたチカラになるのだと思います。言葉少ない教訓ですが、いつか迎えるピンチの時のためにしたためておきたいと思います。
親の器、子の器
親孝行をできるときにしてほしいと思います。昔から「親孝行、したい時には親はなし」と言いますが、今の時代は「親孝行をしたい時には親は必要としていない」とでも言えましょうか。自分が、これまでの非を省みて親孝行をしたくて仕方ない時には、親もこれまでの至らなさに気づき、子の邪魔をしたくないから遠慮するわけです。親孝行にもタイミングがあるのです。親孝行も押しつけになってしまえばエゴが過ぎるというものです。親が煩わしい、邪魔だと思っているうちはまだまだ未熟な子の器です。親はそんなもの相手にしません。子は、親の年齢をまだ生きていないから、親の気持ちなど理解できない。でも私たちも歳を重ねて、親の立場になって気持ちを知り、言葉だけではない親の行動や生き方を見て、泣きたくなるほどの愛情を知るのです。親孝行は自他ともに幸せにしてくれると思います。親が幸せになれば家族が幸せになります。家族の幸せは私たちの幸せです。そして、人とのご縁は、決して早からず遅からず、絶妙なタイミングで結ばれるように、親というものは絶妙なタイミングで私たちに生き方を教えてくれます。
定年後も仕事はあるよ
定年年齢到達後もご本人が働きたい、がんばりたいと思うなら居て欲しいと思います。仕事はあります。今なければ作れます。これまで外部へ委託していたものを当社でやれば仕事はいくらでもできあがります。
すれ違いざまの声掛け
会社内を行ったりきたりしていると、同僚とすれ違う。そんな時、ちょっとした声掛けを大切にしたい。「風邪は良くなった?」「お子さんの運動会どうだった?」「この前の発表よかったよ」縁があって同じ職場で働く同僚。声を掛けあうとお互いを知る。お互いを知るとより絆は深まる。お互いへの考え方が変わる。知る事、知ってもらう事。そうやって助ける事もあれば、助けてもらう事もある。
最後までやる
すぐやる、必ずやる、最後までやる。は、当社の行動指針にあります。できない事としない事を混同しないことです。お役に立ちたいという心で最後までやってみる。そうやって当社のカシデリ事業は生まれました。
インセンティブはやらない
売り上げをあげるとその分、給与が増える。売り上げなければ給与は下がる。わかりやすい。でも社会情勢などが原因で売れない時は懸命に努力しても評価はされない。売り上げは、会社の歴史、良い商品、情報、親切な応対…さまざまなみんなの努力があって実を結ぶ。「みんながどれだけ頑張っているか」それが見えているうちは、こんな制度は必要ない。
設備投資
ウチは菓子卸し。立派なだけの社屋はいらないと思う。少し背伸びをして設備投資をした教訓がある。借入をして立派な固定資産を手に入れた直後にコロナ禍がやってきた。信用と感動を売り、喜びを創造する目的に活動した結果、設備よりも大切なものがある事を改めて実感した。世の中における商売のお役立ちの立ち位置を間違えると大変なことになる。
家の事を話そう
よほど邪魔にならない限り「最近どう?」って話しかけあいたいと思います。同じ目的に向かって毎日顔を合わせる仲間です。「あなたの調子はどう?」「家族はどう?」何気ない会話からお互いを知っていきたいと思います。「家のために働きにきているようなもんだわ」「働いても働いても子どものスマホ代に取られている」どれも家族のため。誇らしい。笑いながらグチを言い合える。そんな会話がたくさんあふれる会社でいたい。
コンビニエンスストアは同志
コンビニエンスストアは自前ブランドの菓子をもっているから「ライバルですね」と聴かれた事がある。即答したい。コンビニエンスストアは同志です。むしろ当社の商品を応援してくれる支援者ともいえる。売り方やお客様のニーズが少し違うだけ。コンビニエンスストアほどご近所に密着したお店はありません。決して広くはない店舗の貴重な陳列棚に当社のアイテムを置いていただける。こんな力強いことはない。協働してお菓子の幸せから喜びを発信してゆきたいと思います。
お客様が欲しいものは必ずウチにある
売上をあげようとすると手元にあるものを売ろうとしがちです。こちらの売りたいものを並べがちです。でも私たちは、「売りたいものを売るのではない。お客様がほしいものを売るんだ。」という気概を忘れないでほしい。お客様が欲しいものは何か?全員が全身をアンテナにして、お客様の喜びにつながる本物を見つけ、創り出していきましょう。
家庭の居場所、職場の居場所
大切な人との関係も長い年月をかけて壊れていく事があります。そんな時の教訓を書き記します。「追い詰めたらいかん。不安なまま放置したらいかん。よく話し合う事。よく知る事。」生活をともにする、かけがえのない家族。毎日顔を会わせる職場の同僚。大変な事になる前に気づいてあげられるのは身近にいる家族や仲間。あなたがどれだけ頑張っているか。あなたが居てくれてどれだけ助かっているか。あなたの居場所はここなんだと、丁寧に伝えあえたらと願います。
家庭軸
家庭が円満でなければ良い仕事をできないと思います。しかしながら、「こうあるべきだ」という家庭像で語ってはいけません。子どもとの関係や夫婦間で「~すべきだ」という正義感をかざされたのでは家族はたまりません。「~すべきだ」という正論では、必ず悪いやつを生み出して、知らずに誰かを傷つけてしまいます。その傷はいつか自分を傷つけてしまいます。うまくいかない時もあります。忙しくて夫婦の焦りや苛立ちのしわ寄せが子どもにいってしまう時もあります。でも、根底に愛があれば大丈夫です。夫婦は話し合えば必ず分かり合えると思います。子どもは必ずいつか「愛されていた」と気づきます。父ちゃんと母ちゃんは、苦しい中でも愛してくれていたんだと気づきます。幼いころに「さっさとしろ!」「男だろう!」と厳しい言葉を浴びせられた記憶にも、自分自身が大きくなれば、言ってくれたその人の、未熟な心や葛藤や苦悩と、その奥底にあった愛情に気づくはずです。みんなの中にある愛は、いつか誰かから受けた愛なのだと思います。仕事でも家庭でも愛をもってすれば、私たちに喜びを創造させてくれるのだと信じます。